きっと日本の音楽の歴史に名前が残る人ではないのだろう。
星のように溢れかえる日本のロックバンドの歴史に埋もれていく存在なんだろう。
けれど。
彼の歌声に触れた人はきっと、いや、確実に、人生を狂わされてきた人間だと思う。
僕は藤崎賢一というボーカリストが世界中で誰よりも好きだ。
彼の歌声は魂を揺さぶる。彼の綴る詩は心の奥底に眠った何かを掻きむしる。
藤崎賢一の不器用すぎるくらい不器用な生き様が好きだ。
自分のボーカリストとしての資質に、自らを取り巻く環境に、そして生きていくことに抗い続ける姿が好きだ。
そんな彼が新しいバンドを結成した。
【LIZARD'S TAIL】
vo.藤崎賢一(ex.JUSTY NASTY,CRAZE,6(Six),LONDON KILLS ME,The Buddy)
gu.鈴木新(ex.黒夢,VINYL,SUPER DROP BABIES)
ba.岸根光(ex.JUSTY NASTY,BLUME,SoL,stylus,現 bluevox, AUTO-MOD)
dr.海老名”EBY”淳(ex.ZI:KILL)
時代が時代なら「スーパーバンド」と呼ばれたであろうバンドだ。
そんな彼らの1st GIGに行ってきた。会場は新宿MARZ。
僕が藤崎賢一という存在に魅せられたのはCRAZEというバンドだった。
おそらく、いや間違いなく、自分の人生において決して消えることのない、消せるはずのないバンド。
1997年、彼はそのバンドから忽然と姿を消した。
その後、彼の歌声を生で聴いたのは2002年の新宿ロフトでの復活LIVEだった。
かれこれ10年ぶりに藤崎賢一の生の歌声を聴く。
会場の新宿MARZにはたくさんの人で溢れていた。
きっと彼らも藤崎賢一というボーカリストに人生を狂わされた人たちなんだろう。
開演。
藤崎賢一は何も変わらず藤崎賢一だった。
あの心を抉るような歌声。魂の琴線を揺さぶる詩。何もかもが藤崎賢一だった。
また藤崎賢一が「バンド」という塊に戻ってきたこと。
それが僕には何よりも嬉しかった。
先は見えない。これからの彼らがどのように転がっていくのかなんて誰もわからない。
ただ改めて。
僕にとって、藤崎賢一という男の代わりはいない。
そのことを改めて感じた夜だった。
ソロ後期の珠玉の名曲である「君が空」を聴けた時、正直マジで泣きそうだった。
今までも、そしてこれからもずっと藤崎賢一というボーカリストは自分にとって特別な存在であり続けるんだろう。
そんな夜だった。
藤崎賢一「君が空」
0 件のコメント:
コメントを投稿